運送業界向け「配車最適化AI」の開発に着手 ― 熟練配車担当の暗黙知を機械学習と数理最適化で形式知化し、実データによる精度検証(PoC)を開始
熟練者依存の解消と空車・回送の削減、同じ人員・車両での稼働率向上を目指す
株式会社PERVA(本社:東京都中央区/ITカンパニー)は、複数県をまたぐ長距離輸送を手掛ける運送事業者向けに「配車最適化AI」の開発へ着手し、実際の配車データを用いた精度検証(PoC)を開始しました。全国に多数の車両を保有する事業者の配車業務全体を見据えつつ、まずは長距離輸送の実データ(車両37台・420案件/3ヶ月分)を用いてAIによる配車がどれだけムダを減らせるかを目に見える形で検証する段階にあります。
背景
運送業界の配車は長年の経験を積んだ熟練担当者の「頭の中」で回っていることが少なくありません。どの荷物にどの車種を当てるか、危険物や資格が要る車両をどう割り当てるか、1台で1日に複数の運行をどう組むか。こうした判断は強みである一方で属人化という経営リスクでもあります。担当者の退職や採用難がそのまま配車機能の停止につながりかねないためです。
加えてドライバーの労働時間規制(いわゆる2024年問題)のもとで、同じ人員・同じ車両のまま稼働率を上げたいという要請が高まっています。多品種・特殊車両を多く抱える事業者ほど「この荷物にはこの車種しか使えない」といった適合制約が膨大になるため、熟練担当者の暗黙知が最も濃く形式知化の価値が高い領域といえます。

本AIの特長
① 機械学習による予測
過去の配車実績データから所要時間や需要の傾向、そして「どの荷種にどの車種を当ててきたか」という配車担当者の判断パターンを学習します。勾配ブースティングや時系列モデルで所要時間・需要を予測しており、過去の割当実績を教師とした分類によって暗黙知を特徴量へと変換します。ベテランの「頭の中」を会社の資産として取り出す工程です。
② 数理最適化による割付
車種の適合や資格・積載量・部署といった制約を満たしながら空車・回送を最小化する配車を数理最適化で算出します。単純な1台1運行にとどめず多運行・帰り荷・傭車まで含めた現実の複雑さに対応するアプローチです。危険物を積めない車両には無理に割り当てず「未割当」とその理由を返すことで、なぜその配車なのかを説明できる形にしています。
③ 継続学習で育つ
現場が「ここは違う」と一言入れるだけで、その修正を裏側でAIが学習して精度が上がっていく仕組み(継続学習基盤)を実装します。配車をすればするほどその事業者専用に育っていくのが狙いです。使い続けることで賢くなり暗黙知の形式知化が進む設計になっています。
今後の展開
今回のPoCの狙いは、実際の配車とAIの配車を並べ、走行距離・空車・使用台数といった指標で比較することで「AIならどこまでムダを減らせるか」を定量的に示すことです。検証を経たうえで、多品種・特殊車両を含む大規模な配車業務全体への展開を進めていきます。
この「予測 × 最適化 × 継続学習」という技術体系は当社が需要予測AIなど他業種の開発でも用いているもので、食品卸の配送ルート最適化やコールセンターの人員配置など業種を横断して応用できます。既存システムを止めず・壊さずAPIで「足す」形で導入できるのも特長です。研究で終わらせずAIを実業務に組み込んで動かし切るところまで一貫して手掛けます。
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