自社の経費精算業務に領収書AI-OCRを実装 ― 撮影するだけで自動入力、読み取り応答時間を最大85%短縮し本番稼働を開始
領収書の撮影だけで利用日・金額・勘定項目を自動入力。読み取り応答時間を最大85%短縮しPC・スマートフォンの双方で本番稼働を開始。
株式会社PERVA(本社:東京都中央区/ITカンパニー)は、自社の業務基盤システムに経費精算の領収書を生成AIで読み取り自動入力する「AI-OCR機能」を開発し2026年9月より本番稼働を開始しました。従業員が立て替えた経費を申請する際にこれまで領収書を見ながら手入力していた利用日・金額・勘定項目・件名・説明の各項目は画像またはPDFをアップロードするだけで自動的に入力されます。PC版とスマートフォン版(PWA)の双方に実装しており現在は社内の実業務で日常的に稼働中です。
背景
経費精算における立替申請は多くの企業で日常的に発生する定型業務です。申請者は領収書を一枚ずつ確認して利用日・金額・勘定項目を転記します。一件あたりの作業は数分でも全社・全月で積み上がれば無視できない工数となるうえ、転記作業そのものは何ら付加価値を生みません。
近年はAI-OCRによる帳票読み取りの技術が急速に普及しました。しかし「読み取れること」と「業務システムのなかで実運用に耐えること」の間には依然として大きな距離があるのが実情です。読み取りに1分以上を要すれば利用者は待つよりも手入力を選び、誤読に気づかないまま申請が通れば会計処理の誤りに直結します。手書きや傾いた領収書、レシートと請求書が混在する現実の入力データはデモ環境の整った帳票とは性質が異なるためです。
当社はこの「動くもの」と「業務で使えるもの」の距離を埋めることこそがAI開発における実装力であると考えており、今回はその実装力をまず自社の業務基盤システムで検証しました。

本AI-OCR機能の特長
1. 撮影するだけの自動入力とAIが入力した値の可視化
申請フォームで領収書の画像またはPDFをアップロードすると、利用日・金額・勘定項目・件名・説明の各項目が自動的に入力されます。ここで重要なのはAIが読み取った値を紫色の文字で表示する点です。申請者は「どの項目をAIが入れたのか」を一目で判別できるため確認すべき箇所が明確になるうえ人が値を修正するとその項目は通常の黒文字に戻ります。
AI-OCRの誤読を完全にゼロにすることはできません。だからこそ自動確定はせず人の確認を必ず挟む設計とし、誤読に気づかないまま申請が通る事故をUIの側から防いでいます。


2. 応答時間を最大85%短縮しつつ読み取り精度は維持
実運用に耐える速度を確保するうえで最初に見直したのはAIへの画像の渡し方そのものです。当初はファイル読み込みの機能を経由してAIに画像を参照させていましたが、この方式では読み取りに90秒以上を要し、まれに読み込み自体が失敗する事象も発生していました。そこで画像をメッセージとして直接AIに渡す方式へ変更し応答時間を10秒台まで短縮するとともに読み込み失敗も解消しています。
さらにAIの推論の深さを領収書の読み取りという定型作業に見合う水準へ調整するオプションを追加しました。この結果として情報量の多い複雑な領収書で82秒から12秒へ、手書きの領収書で41秒から7秒へ、一般的なレシートで13秒から5秒へと応答時間を短縮しています。いずれも実データによる実測値であり、金額・日付・勘定項目の読み取り正解率は高速化の前後で変化していません。
精度面では手書きかつ傾いた領収書において「¥14,830」を「114,830」と読み違える事象を検証中に発見しました。¥の記号を数字の1として認識してしまう誤読です。画像の向きを自動補正する処理とプロンプト設計による指示の明確化によりこの誤読は解消済みとなっています。
3. PC・スマートフォン双方への展開と本番環境での安定稼働
経費の立替は外出先や現場で発生します。そのため利用実態に合わせスマートフォン向けのPWAにもPC版と同一の操作体験を展開し読み取り中の表示から紫文字での反映まで利用者が迷わない一貫性を持たせました。一方でバックエンドの処理はPC版のロジックを完全に共通化しており、認可判定とAI呼び出しの二重実装・二重管理は発生しません。
また本番稼働にあたっては開発環境では再現しない不具合も特定し修正済みです。サーバー上に複数のバージョンの実行環境が存在し、そのうち古いものが選択された結果として処理が「成功」を返しながら実際には何も読み取らないという事象が発生していました。ボタンは押せるのに値が入らないという原因の分かりにくい不具合であり本番と同一の最小構成で実地検証を行うことで原因を突き止めています。
今後の展開
今後は読み取り対象を請求書・納品書といった他の帳票へ拡張し経費精算以外の入力業務にも適用範囲を広げていきます。あわせて当社の業務支援AI「VADO AI」との連携により帳票の読み取りから承認・集計までを一気通貫で処理する仕組みの構築を進めてまいります。
本取り組みで得た実装知——生成AIの応答速度と精度を業務要件に合わせて設計する手法、誤読を前提としたUX設計、本番環境特有の不具合への対処——はそのまま顧客企業の基幹業務へのAI実装に還元できるものです。当社は自社業務での実践を通じて検証した技術を、AIネイティブカンパニーとして顧客企業の業務自動化支援へ展開してまいります。
お問い合わせ先
株式会社PERVA ITカンパニー
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